2004 Fiscal Year Annual Research Report
音声対話システムのための言語的・メタ言語的知識の構築に関する研究
Project/Area Number |
03J52401
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
船越 孝太郎 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 音声対話 / 自然言語処理 / 談話 / 知識 / 対話コーパス / マルチモーダル |
Research Abstract |
音声対話ロボットがその理解や行動を修正しようとするユーザからの割り込みに適切に応じるために必要な,言語的・メタ言語的知識の収集に取り組んだ. 対話システムがユーザの割り込みに適切に応じるには,ユーザの発話を理解するだけでなく,適切な言語表現を生成してユーザとコミュニケーションを取る必要がある.特に物理的な世界で活動するロボットは,単に論理的に正しいだけでなく,人間の状況認識に沿った物体参照表現を生成する必要がある.しかし従来の研究では,言語表現の論理的正確性と簡潔性が重視され,人間の認識との一致性については十分に議論されていない.そこで,人間の認識との一致性が重要となる状況に注目し,心理言語学実験によって言語表現を収集した.具体的には,物体の集合と集合間の関係を用いないと自然な表現が生成できない状況を取り上げた.そのような状況では,従来の研究によっても論理的に正確な表現は生成できるが,自然で理解しやすい表現は生成できない.そのような状況を12個用意し,42人の大学生から476表現を収集した.そして別の44人の大学生にそれらの言語表現の適切さを評価させ,人間がどのような言語表現を生成し,そして好むかを調べた.調査結果を反映させた生成アルゴリズムは,用意した状況に対して人間と同等の言語表現を生成できた. 前年度に引き続き,割り込み発話の収集に取り組んだ.前年度に行った収集実験では人間対人間の対話を対象としたが,そこで得られた対話データは機械処理には複雑すぎるものであった.そこで,人間対機械の対話を模擬し,複雑さを抑制した対話データを収集するためのツールを作成した.対話システムを用いて対話データを収集しようとしてもシステムの能力不足によって対話が破綻することが問題になるが,このツールを用いれば人間が対話システムに成り済ますことで複雑さの抑制された対話データを安定して収集できる.
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