2003 Fiscal Year Annual Research Report
情報システムと組織とのかかわり-特にその相互作用と発展のメカニズムについて-
Project/Area Number |
03J52431
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
首藤 聡一朗 一橋大学, 大学院・商学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 情報システム / 組織改革 / 業務プロセス改革 |
Research Abstract |
本年度、私は様々な先人の研究を見る事で研究を発展させる基盤を築くとともに、実際に企業で情報システムに携わられている方々にインタビューを行いました。 1年目の課題として自らの基盤作りにまず重きを置いたこともあり、論文にまとめるには至っていませんが、ただ今鋭意執筆中でございます。以下で論文に盛り込む予定の事柄について、書かせていただきます。 本年はSCMなどの比較的大規模な情報システムを中心に、組織との関連を調査いたしました。かねてより情報システムが上手く機能する際には組織との整合が重要である、ということは述べられ来ましたが、私はその重要性は認めつつもどうしても不整合が生じてしまう部分があり、それにより困難が生じるとともにその困難の乗り越えによるプラスのダイナミズムも生じるのではないか、という作業仮説を持って研究してまいりました。複数の事例を検討した結果、確かにそのような不整合による困難やダイナミズムが生じたケースを確認することができました。しかし、同時により現実に即した形で問いを表現する必要に気付きました。その問いとは、「組織・業務改革における情報システムが果たす役割とは何か」というものです。その役割としてはまず、第一に改革の基盤を情報システムが提供する、ということがあります。その優れた能力が改革を支えるというものです。しかし、同時に情報システムは改革のテコとしても機能するのです。字数の関係でそのすべてを書くことはできませんが、その本質は二つのことです。一つは、情報システムがその固定的性質ゆえに改革の強制力となる、というものです。そして、もう一つは情報システムが形式化された情報しか処理しえないゆえに、かえって業務プロセス等の形式化・可視化が促進されるということです。改革の、計画・実施・維持というそれぞれの段階においてこのテコとしての機能が見られることがあるのです。
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