2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J52441
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中村 健太 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 研究開発 / 企業の境界 / 特許制度 / 実証分析 / 技術取引 / 専有可能性 / 受容能力 |
Research Abstract |
企業がどのような要因で技術取引相手を選択しているのかを分析するため、潜在的な取引相手として国内企業と外国企業が存在している状況を想定し、両者の間での選択問題を考えるため、技術導入・供与の相手先として外国企業が占める比率を件数ベース、金額ベース、相手先企業数ベースで計り、その決定要因を「知的財産活動調査」(特許庁)の個票データを用いて実証的に検証した。中心的な決定要因として、(1)取引費用、(2)海外と日本との相対的な技術レベルの差、(3)当該企業の受容能力の三つに着目した。 取引費用については、特許による専有可能性が低い産業に属する企業ほど、外国企業ではなく、モニタリングが容易な国内企業との技術取引(技術供与・導入)を選好すると想定された(仮説1)。(2)については、国内の技術レベルに比べて海外の技術レベルが相対的に高い産業ほど、外国企業からの技術導入の比率的に高いと想定された(仮説2)。(3)については、外国企業からの技術導入ほど高度な受容能力を要すると仮定されることから、受容能力の高い企業ほど外国企業からの技術導入が比率的に高いと想定された(仮説3)。 国内と海外の相対的な技術レベル格差を所属する業種における日米の研究開発集約度の比率、および国内特許における技術分野別の外国人出願比率の加重平均で測り回帰分析をおこなったところ、仮説1についてはおおむね支持され、仮説2については統計的に有意な結果を得ることができず、また、仮説3については一部の分析においてのみ有意な結果を得た。また、グループ内での技術取引とグループ外との技術取引を分けた分析では、仮説1はグループ外取引についてのみ成立することが示されグループ内取引は準内部取引であるため取引費用は大きな問題にならないものと推測された。
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Research Products
(1 results)