2003 Fiscal Year Annual Research Report
変数間の関係を記述する諸概念と経済、ファイナンス理論の関連性
Project/Area Number |
03J52451
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
千木良 弘朗 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 計量経済学 / 時系列分析 / Granger因果性 / 経済学 / ファイナンス / 非定常時系列 |
Research Abstract |
2003年度統計関連学会連合大会で発表した論文"The Granger Non-Causality Test in Cointegrated Vector Autoregressions"(一橋大学大学院経済学研究科、山本拓教授と共著)をreviseして、同名の21世紀COEプログラムのディスカッションペーパーとした。 この論文では、共和分システムにおけるGranger因果性の、よりperformanceの良い検定法を提案している。共和分システムにおける従来のGranger因果性の検定法は、非定常時系列に特有な問題(検定統計量の収束のスピードや漸近分布が定常時系列におけるそれと異なること)を避けるための工夫をすることで、standardな分布での検定はできるようになるが小標本でのperformanceが低下してしまうとが指摘されていた。performanceの低下とは、具体的にはsizeの歪みとpowerの低下を指す。これに対し、この論文では、 1.そのような問題がそもそも起きないことの条件とその検定法 2.問題が生じる場合の新たな回避策 3.sizeの歪みを減らす方法 を示した。これらの検定は全てstandardな分布で行え、計算法もsimpleである。因果性の検定を行う前に、そもそも回避策を取る必要があるかどうかをチェックし、必要が無いときには通常の検定法を使い、必要があるときには本論文で提案されている回避策を取ることで、従来の検定法よりpowerが上がることが期待される。sizeの歪みについては3.の結果によって減ることが期待される。論文では実際にシミュレーション実験を行い、期待通り、従来の検定法よりpowerが高くsizeも安定していることが示されている。
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