2003 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピン中部ルソン島における貧困と不平等:1979-2003
Project/Area Number |
03J52461
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
高橋 和志 政策研究大学院大学, 政策研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 貧困 / 不平等 / 世代間所得移転 / 農村社会変動 |
Research Abstract |
本研究では、国際稲研究所(IRRI)が1979年から収集してきたパネルデータを用いることで、フィリピン中部ルソン地域における、所得階層の形成要因およびその時系列的変化について実証分析することを目指している。論文作成に向け、今年度はパネルデータの編纂と補足的な調査を実施した。今年度の補助金は主にそれらの作業を遂行するための、フィールドでの車両借り上げと研究補助員雇用のための費用に充てられた。 (1)データ収集 IRRIのデータは世帯レベルの情報に詳しい反面、(a)独立した子どもたちの生活実態、(b)地域情報、について十分な情報を有していない。この点を補うために、補助金を用いてフィールド調査を行った。(a)については、約300世帯を対象に、学歴、職歴及び現在の生活水準に関するデータを集め、(b)については、特に地域産業の発展水準や、子どもたちが卒業した学校の質に関する情報収集に努めた。本調査とIRRIのパネルデータをもとに、今後、生まれた家庭や社会環境の格差が階層決定にどのような影響を及ぼしているのか、数量的に検証していく予定である。 またフィールド調査を通じて、子どもが外に出て行く農家ほど後継者不足に悩み、そのため農作業を雇用労働によって賄う傾向にあることがわかった。土地不足に悩む土地なし農家や零細農家にとって、このような労働需要の拡大は生活改善の上で不可欠であると考えられる。今後は、農家出身子女の職業選択と農業労働雇用の関連性についての調査も深く進めることで、所得分配構造に関する一層の理解に努める。 (2)データ編纂 過去のIRRIデータには、単純な入力ミスや聞き取りミスなどの致命的な問題があった。そこで、質問表を一つ一つ精査し、データ修正を図った。この作業は今年度中に終了することを予定していたが、データの量が膨大であるため予定通り捗らず、来年度も継続して実施する必要がある。
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