2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J52471
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
譚 春鳳 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 難治てんかん / 発生異常 / 皮質異形成症 / 分子病理学 / DNAチップ |
Research Abstract |
難治てんかん患者に対する外科的脳切除術が広く行われ、その切除脳についての病理学的知見が蓄積されるにつれ、そこには大脳皮質の発生異常、特に神経細胞の移動障害を含む局所病変がてんかん原性獲得の基盤に存在することが認識されつつある。 本研究は、多数の自験例を対象とし、てんかん原性病巣における各種分子種の発現動向を網羅的に検索し、それらを分類・統合することにより、その分子病理学的実体を理解することを目的とする。 研究の遂行にあたり、本年度は、170例を病理組織学的に再検討し、その約6割にあたる106例は皮質異形成症(cortical dysplasia)と診断され、その殆どの症例で凍結組織を保存していることから、本研究遂行に十分な量的・質的準備状況にあることを確認した。これと平行して、DNAチップによる発現解析を行うための方法論を修得した。即ち、貴重なヒト組織を用いる前段階として、実験動物(ラット)を用い、一連の実験操作手順の確立と方法論的妥当性を検証した。I:組織からのtotal RNAの抽出.II:mRNAをcDNAに変換し、biotin-UTP,-CTPの存在下で増幅.III:cRNAの断片化とDNAチップへのハイブリダイゼーション.IV:biotin標識シグナルの増幅、共焦点レーザースキャナでのシグナル検出.V:画像処理と統計解析の実行.VI:各ステップにおけるサンプルの精製度確認. これらを行うことにより、様々な実験手技的問題点に気づき、そしてそれらを一つ一つクリアーすることが出来た。その過程で、発現量が少ない分子種の変動解析をどのように行うか、また実際の現象と変動分子種がどのように関わるのかを解析する方法論の模索など、早急に解決すべき問題点も把握するに至った。 次年度は、実際のヒト組織を用いた解析を実行するとともに、上記問題点の克服に向け、集中的に研究を進める予定である。
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