2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J52491
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
秋 旻京 富山医科薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | がん転移 / TNF-α / MAPK / 浸潤 / 遊走 / 接着 / MMP-9 |
Research Abstract |
がん転移機構において、炎症性サイトカインTNF-αが重要な役割を果たしている可能性が示唆されている。しかしながら、がん細胞に対する直接的な作用が果たす役割については不明な点も多い。そこで、マウス結腸がんColon 26細胞を用いて、がん細胞のTNF-αシグナル伝達系の転移能に及ぼす影響について検討した。Colon 26細胞をin vitroにてTNF-α刺激することにより、浸潤、遊走、fibronectinに対する接着とMMP-9産生の増加が確認された。また、マウスの尾静脈から細胞を移植する肺転移モデル、および門脈内投与による肝転移モデルにおいて、細胞をあらかじめin vitroにてTNF-α刺激することにより転移能の誘導が認められた。そこで、これらTNF-α誘導性の転移能におけるシグナル伝達系の果たす役割について、mitogen-acitvated protein kinase (MAPK)に注目して検討した。まず、細胞をTNF-α刺激することによりMAPKであるERK、JNKとp38の一過的なリン酸化が確認された。そこで、TNF-α誘導性の転移能に対するMAPK阻害剤の効果を検討した。その結果、MEK阻害剤U0126、JNK阻害剤SP600125、p38阻害剤SB203580によりTNF-α誘導性浸潤と遊走が抑制された。また、fibronectinに対する接着能はU0126によって抑制された。さらにRT-PCRとzymographyにより検討した結果、MMP-9産生もU0126処理によって抑制された。以上の結果からTNF-αによるColon 26細胞の転移能の増加には、MAPK活性化が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。特に、細胞接着とMMP-9産生などにおいてERK経路の重要性が示唆された。
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