2003 Fiscal Year Annual Research Report
陸域生物圏モデルによる炭素循環解明と植生パターン変動解析
Project/Area Number |
03J52571
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐々井 崇博 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 陸域生物圏モデル / 炭素循環 / NPP / NEP / 地球温暖化問題 / 炭素フラックス / 衛星データ / 気候データ |
Research Abstract |
現在深刻化する地球温暖化問題は、大気CO_2濃度の増加が大きな原因の一つとされる。そのため、炭素循環の解明は、温暖化にとって重要な課題である。大気CO_2の吸収源は、主に海洋と陸域生物圏に分けられる。中でも、陸域生物圏は最大の炭素吸収源と見積もられ、炭素循環の中でも重要な役割を果たす。代表的な陸域炭素フラックスは、NPP(Net Primary Productivity)とNEP(NET Ecosystem Production)があり、いずれも大気との炭素交換量を表す重要な物理量である。しかし、これらの物理量を広域で直接実測することは困難な為、陸域生物圏モデルが唯一の推定手段とされる。これまで、グローバルスケールを対象とした数多くのモデルが堤案されてきたが、推定結果がモデル間で大きく異なるのが現状とされる(Cramer et al.,1999)。そこで、本研究では、新たな陸域生物圏モデルの構築を行い、NPP・NEPの空間的・時間的パターンの把握を目指す。 モデルによる炭素フラックス推定では、気候・植生データを入力に用いる。そこで、植生・気候データの収集・整理を行った。具体的には、既存研究からの情報収集、収集したデータのトレンド解析を行い、データの選定を行った。また、必要に応じてフォーマット変換と空間・時間分解能の統合も行った。 モデル構築では、気候データのみを用いた予報的モデルの構築を目指す。予報的モデル構築の初期段階として、衛星データに依存した診断的モデルがある。診断的モデルは、植生季節変動を衛星観測結果に依存させることで、生態系プロセスを評価しやすい利点がある。また、予報的モデルとは異なるデータを入力する為、将来的には予報的モデルの検証材料としても利用できる。そこで、まず診断的モデルの構築を行った。モデルは主に水循環と炭素循環の二つのサブモデルで構成される。モデル解析では、炭素フラックスに対するモデル感度実験や実測を用いた検証を行い、モデルの整合性・妥当性の評価を行った。 今後は、予報的モデルへの発展として、植生季節変動サブモデルを構築し、衛星データによる比較・検証を行う。そして陸域生物圏モデルに結合し、NPP・NEP推定を行う予定である。
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