2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学法によるナノトライボ分子膜の動力学解析に関する研究
Project/Area Number |
03J52581
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾形 晋 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マイクロマシン / ヘッド・ディスクインタフェース / ナノスケールメニスカス / 分子動力学シミュレーション / 表面粗さ / 液体分子の配列構造 / 離散的な凝着力 / 高分子潤滑膜の表面流動 |
Research Abstract |
マイクロマシンやハードディスクのヘッド・ディスクインタフェースなど,分子レベルの微小すきまをもつ系に介在するナノスケールメニスカスの形成過程および凝着特性の解明を目的として,メニスカスの形成・破断に関する分子動力学シミュレータを開発し,以下の結果を得た. (1)粗さのない固体表面間に形成したメニスカスの場合には,内部の液体分子が固体表面に沿って層状に配列することにより,連続体理論に基づく近似モデルより導出される円弧形状から大きくずれることを明らかにした. (2)分子レベルの粗さのある固体表面間に形成したメニスカスの場合には,液体分子の配列構造が固体表面上の粗さによって乱されることにより,円弧状の滑らかな表面を形成することを明らかにした. (3)固体表面と液体表面の間が数分子直径程度離れている場合においても,液体膜表面の熱的なゆらぎの存在により,液体分子が固体表面に凝集し,最終的にはメニスカスを形成することを明らかにした. (4)引張りを受けるメニスカスが分子の配列構造に依存した離散的な凝着力を示すことを明らかにした. (5)引張り速度の増大に伴い,引張りを受けるメニスカスの伸び量が増大することを明らかにした. また,ディスク面に塗布された高分子潤滑膜の表面流動を解明することを目的として,高分子モデルを用いたモンテカルロシミュレータを開発し,以下の知見を得た. (1)高分子の分子回転半径の計算値を実験により観測される値と対応させることにより,シミュレーションで用いる高分子モデルのパラメータを設定する方法を提案した. (2)液体膜内部の分子数密度を計算し,しきい値を設定することにより液体高分子膜の流動時の表面形状を同定した.これにより,実験結果と計算結果を比較することを可能とし,本計算が固体表面上における液体高分子薄膜の流動現象を定性的に再現することを確認した.
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Research Products
(2 results)