2003 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学法によるナノトライボ分子膜の動力学解析に関する研究
Project/Area Number |
03J52581
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾形 晋 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | マイクロマシン / ヘッド・ディスクインターフェース / ナノスケールメニスカス / 分子動力学シミュレーション / 表面粗さ / 液体分子の配列構造 / 動的凝着力 / 離散的な力分布 |
Research Abstract |
マイクロマシンやハードディスクのヘッド・ディスクインタフェース(HDI)など,分子レベルの微小すきまをもつ系に介在する,ナノスケールメニスカスの凝着特性の解明を目的として,粗さをもつ固体表面間に形成するメニスカスの表面形状に関する分子動力学シミュレータを開発し,以下の結果を得た. (1)メニスカスを構成する液体分子の位置を,存在確率密度を用いて表現することによって空間的に平均化し,分子固有の外形に起因する離散的な表面形状を平滑化して,連続的な表面形状を定義することを可能とした. (2)粗さのない固体表面間に形成したメニスカスの場合には,内部の液体分子が固体表面に沿って層状に配列することにより,連続体理論に基づく近似モデルより導出される円弧形状から大きくずれることを明らかにした. (3)分子レベルの粗さのある固体表面間に形成したメニスカスの場合には,液体分子の配列構造が固体表面上の粗さによって乱されることにより,円弧状の滑らかな表面を形成することを明らかにした. また,この静止メニスカスに関する計算手法を発展させ,動的な凝着現象に関するシミュレータの開発を開始した.このシミュレータを用いて,固体表面間に形成したナノスケールメニスカスの引張り破断に関する動的シミュレーションを行い,以下の結果を得た. (1)メニスカスを構成する液体分子の熱振動エネルギーと,液体分子がメニスカス内部を流動する際の運動量変化が凝着現象に及ぼす影響について考慮することにより,非平衡状態にあるメニスカスの凝着力をモデル化し,動的な凝着現象の解析を可能とした. (2)引張りを受けるメニスカスの内部に分子の配列構造に依存した離敵的な力分布が現れることを明らかにした. (3)引張り速度の増大に伴い,引張りを受けるメニスカスの伸び量が増大することを明らかにした.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 尾形 晋, 大島 康司, 福澤 健二, 三矢 保永: "分子動力学法を用いた粗さのある表面における液架形成シミュレーション"トライボロジスト. 49巻4号(掲載予定). (2004)
-
[Publications] S.Ogata, H.Zhang, K.Fukuzawa, Y.Mitsuya: "Simulation of an Ultra Thin Liquid Meniscus Formation by Molecular Dynamics Method"International Conference on Tribology of Information Storage Devices. (口頭発表). (2003)