2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J52601
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 耕史 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | CDX2 / APC / 腸癌 / 染色体分配異常 / mTOR |
Research Abstract |
Cdx2遺伝子変異はApc^<Δ716>欠損マウス(Apcマウス)の大腸ポリープ形成を促進した。 まず、家族性大腸腺腫症のモデルであるApcマウスにCdx2遺伝子変異を導入し、Apc/Cdx2マウスを作出したところ、Apcマウスに比較して6倍数の大腸ポリープを形成した。 Cdx2遺伝子変異は、染色体分配異常(CIN)を誘導した。 Apc/Cdx2マウスにおけるポリープ形成促進の機序としてCINが生じている可能性を検証した。CINの指標となる染色体分配異常頻度(ABI)を調べたところ,Apcマウスに比べApc/Cdx2マウスでは10倍に上昇していた。この結果により、Apc/Cdx2マウスでは、CINにより著しくポリープ形成が促進されていると結論づけられた。 ヒト大腸癌細胞においてCdx2発現抑制は、細胞周期のG1/S移行を促進した。 ヒト大腸癌細胞DLD-1のCdx2遺伝子発現をアンチセンス法により抑制した細胞を作成した。このCdx2発現抑制細胞では対照に比べABIが10倍上昇していることを見出した。細胞周期の解析より、Cdx2発現抑制細胞では対照に比べ、G1/S移行が促進していることがわかった。さらにCDK抑制因子であるp27の発現減少、CyclinE/Cdk2複合体の活性上昇を見出し、CDX2発現減少がCyclinE/Cdk2の活性化を介してG1/S移行を促進していることとが示唆された。G1期に重要なPI3キナーゼ経路を調べたところ、その下流因子として重要なmTORの活性化が観察された。そこで、mTOR阻害剤でCdx2発現抑制細胞を処理するとG1/S移行が抑制されること、さらにABIが低下することを見出した。これらの結果により、CDX2発現減少はmTORの活性化を介してG1/S移行促進及びCINを誘導していることが明らかとなった。 以上の結果により、大腸癌におけるCDX2発現減少に起因したmTOR依存性の染色体分配異常という新たな機序を示すとともに、mTOR阻害剤の新たな治療効果の可能性を見出したと言える。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Koji Aoki, Yoshitaka Tamai, Shigeo Horiike, Masanobu Oshima, Makoto M Taketo: "Colonic polyposis caused by mTOR-mediated chromosomal instability in Apc^<+/Δ716> Cdx2^<+/-> compound mutant mice"Nature Genetics. 35・4. 323-330 (2004)