2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J52621
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 智広 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 直交多項式の漸近挙動 / multiple orthogonal polynomials / Mehler-Heine type formula / polyorthogonal polynomials |
Research Abstract |
直交多項式の漸近挙動は、古くから直交多項式の理論における主要な研究課題の一つであり、またランダム行列などの分野においての応用も多い。特に、古典直交多項式の場合には直交多項式が付随する測度の台は実区間であって、その端点の近傍における漸近挙動を示すMehler-Heine type formulaと呼ばれる式が成り立つ。そのような式は19世紀末には既に知られており、かなり広いクラスで成り立つことや、さらに詳細な漸近挙動も得られている。Polyorthogonal polynomialsもしくはmultiple orthogonal polynomialsと呼ばれる多項式系についても「古典的」ないくつかの場合には同様な式が成り立つことが前年度までの研究などでわかっている。しかしながら、そのような式が成り立つことは少し前まではほとんど分かっていなかった。 Polyorthogonal polynomialsとは、複数の測度に対して同時に直交性を持つような多項式系で、一般には多項式としての次数に対してではなく、vector-indexに対して定義される。現在は測度は2つのみを考え、かつpurely diagonalと呼ばれる多項式の次数に対して定義される多項式系を考えている。この場合polyorthogonal polynomialsは4項間漸化式を満たす。 本年度の研究ではある漸近的な条件を満たすような4項間漸化式を持つ任意のpolyorthogonal polynomialsに対してMehler-Heine type formulaを示し、かなり広いクラスのpolyorthogonal polynomialsに対してもMehler-Heine type formulaが成り立つことが分かった。このとき基本としたアイデアは漸化式をBessel方程式の差分化とみなすというもので、直交多項式についてはA.I.Aptekarevによりすでに同様の研究が為されているが、polyorthogonal polynomialsについては本年度の研究が初めてである。ただし、直交多項式の場合はその漸化式は3項間であるので、現在得られた結果ではその条件も複雑になっている。
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