2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J52621
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 智広 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 多重直交多項式 / 直交多項式 / 漸近挙動 / ランダム行列 |
Research Abstract |
近年リーマン・ヒルベルト問題を利用した、直交多項式や多重直交多項式の漸近挙動を調べる新しい手法がデイフトやチョウにより開発された。この手法はリーマン・ヒルベルト問題の最急降下法とも呼ばれ、リーマン・ヒルベルト問題をうまく変換して漸近挙動がよく分かるリーマン・ヒルベルト問題に帰着させる方法である。ある与えられた測度に対する直交多項式や多重直交多項式の漸近挙動を調べる方法としては、級数表示や積分表示を使う方法がよく知られている。しかしながら、それらの陽的な表示を持たない場合はこのリーマン・ヒルベルト問題の最急降下法が唯一の方法と言え、ランダム行列の相関函数の漸近挙動を知る上で極めて有用な方法である。現在この方法を利用した一般化多重ヤコビ多項式の漸近挙動について研究を行っている。この多項式はその名の通り種々の性質が比較的よく知られている多重ヤコビ多項式を一般化したものであり、例えばメーラー・ハイネ型漸近公式を持つことが期待される。本年度は特に、この多項式が前年度までの研究で得られた、多重直交多項式がメーラー・ハイネ型漸近公式を持つための十分条件を満たすことを確かめるのを目標として研究を行ってきた。現在一般化多重ヤコビ多項式に対応するリーマン・ヒルベルト問題を構成し、変形している最中である。ある程度簡略化することには成功しているが、いまだ漸近挙動が明確になるには至っていない。しかしながら近日中に完成できるものと確信している。
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