2004 Fiscal Year Annual Research Report
重力レンズで探るブラックホール時空構造とダークマターの正体
Project/Area Number |
03J52631
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 労太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ブラックホール / 一般相対性理論 / 活動銀河核 / 降着円盤 / 干渉計 |
Research Abstract |
今世紀前半には電波及びX線干渉計望遠鏡により、銀河中心の超巨大ブラックホールの直接撮像が期待されている。ブラックホールの近傍では、ブラックホールのスピンの効果が無視できない。現在までに提案されているスピンの測定方法には全く自明でない複数の仮定が用いられているために、方法自体にコンセンサスが得られている状況ではない。そのような状況を踏まえ、今回の研究においてはまず、将来の干渉計によるブラックホールの直接観測からブラックホールのスピンを測定することができるか否か、測定できる場合には過去に提案された方法と比較してどのような利点があるのかを研究した。結果は、一般相対性理論とstationaryなブラックホールという仮定だけを用いた上で、ブラックホールの質量・スピン・傾き角のいずれもが縮退なしにブラックホールの影の輪郭から求められることがわかった。光学的に薄い状況であれば、ブラックホールの周囲に軸対称な降着円盤が存在する場合でも結果は同じである。縮退が解ける理由は、ブラックホールの影の位置・形状の非軸対称性はブラックホールのスピンのみがつくるからである。次に、これらの研究を拡張することにより、ブラックホールの影の位置・形状からブラックホールの電荷を他の物理量との縮退なしに測定できるか、電荷的に中性である場合にはそのことを判断することができるかを研究した。まず、電荷とスピンを持つブラックホールについて、無限遠の観測者から見た場合のブラックホールの影の輪郭を記述する解析解を導出した。この解析解では、ブラックホールの電荷・スピン・傾き角の間に縮退は存在しないので、特殊な場合を除き、原理的にこれらのパラメータをブラックホールの影から決定することが可能であることがわかった。これらの研究成果は、複数の研究会・学会において公表し、査読付きの雑誌に論文として掲載された。
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Research Products
(3 results)