2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J52641
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒木 聖夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 黒潮流路 / 数値モデル / 成層構造 |
Research Abstract |
現実を模した風応力分布で駆動されるレベルモデルを用いて、流路の流量に対する依存性を調べた。流量が非常に小さい場合を除けば、低流量(おおよそ20Sv以下)で蛇行路が存在し、中間の流量(20〜40Sv程度)で蛇行路と直進路が多重解となって現れ、高流量(40Sv程度以上)で直進路が現れる。直進路の存在する流量に下限が存在する点と、蛇行路が存在する流量の上限が小さい点が、同様の海盆と風応力分布を用いた2層モデル実験と違う。スベルドラップ流量から推定される黒潮流量の経年変動(30〜50Sv)を考えると、後者の違いが現実的な意味で重要である。 蛇行路が存在する流量の上限は、成層構造に依存することが、2層モデルを用いたケーススタディから明らかになった。上層が薄いほど、また、上下層の密度差が大きいほど、蛇行路が存在する流量の上限が小さくなる。これは蛇行路を定在ロスビー波として考えると説明がつく。すなわち、上層が薄いほど流速が強くなり、また上下層の密度差が大きいほど境界面の傾きに起因するベータ効果が小さくなるため、より小さい流量で定在ロスビー波(蛇行)の波長が日本南岸より長くなり、蛇行路が存在しえなくなる。 観測データ解析によれば、1980年半ば以降に日本近海の海面水温が上昇しており、現実のスベルドラップ流量が1970年半ば以降現在まで大きい状態が続いていることを考えると(40〜50Sv程度)、この成層の強化によって1991-2003年に蛇行路が現れなかった可能性がある。
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