2005 Fiscal Year Annual Research Report
日米両憲法学に於ける共和主義的視座の考察-「公」と「私」の問題をめぐって
Project/Area Number |
03J52661
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸野 薫 京都大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マーベリ判決 / 司法審査制 / 法と政治 / 法の支配 |
Research Abstract |
本年度は、マーベリ判決に関する論文を作成した(法学論叢2006年5月号掲載予定)。この論文は、司法審査制の端緒を刻む判決として、アメリカ憲法学において最も引照される判決であるMarbury v. Madison (1803)の解析を通じて、当時の法と政治をめぐる二つの政治秩序理念の対抗関係を軸に、司法審査に携わる裁判所、とりわけ連邦最高裁判所の役割と、それを可能にする法の支配の構想を析出しようとしたものである。 日本におけるマーベリ判決の先行研究を見るに、判決文自体の検討は早くから十二分になされてきているが、その判決を支える憲法思想及び政治的・社会的背景をも踏まえた研究は、ごく少ない。しかし、現代アメリカ憲法学の源流を探るためには、そうした研究は必須であろうと思われた。そのため、当時の連邦最高裁の諸判決及び連邦議会議事録、書簡・演説等の史料を詳細に検討した上で、これを判決後200年の節目に再び活性化した本国における新たなマーベリ判決研究と照合し、当時の指導者層の統治に関する認識と、現代のアメリカ憲法理論との架橋を試みた。 なお、上記論文作成とは別に、関西アメリカ公法学会2005年度秋季研究会において、アメリカ公法最新判例であるCutter v. Wilkinson (2005)を素材に、受刑者の宗教上の権利に関する判例報告を行っている。
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Research Products
(1 results)