2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J52701
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陳 捷 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 甲骨文字 / 殷代 / 信仰 |
Research Abstract |
本研究は、甲骨文字そのものを分析することによって、殷代の信仰を中国文化史の中に位置づけて、その特質を究明することを目的とする。本研究は殷代諸種の信仰を五つの時期に分け、時代の流れに沿ってその信仰の発展を追うという方法を採る。本年度は前年度に続いて天神に関する考察を終え、次の地祇(土地の神)、例えば社、四方、四戈、四巫、岳、河などを検討する。土地神、とりわけ社、岳、河などに対する観念は、数千年後にも様々な形で地元に影響を与えていると推定されるので、河南省安陽県とその周辺で綿密な現地調査を行うことによって得た手掛かりが非常に大きな意味を持っている。また殷民族と中国北方の新石器文化との深い関係が注目されている中、宗教儀礼を中心に紅山文化遺跡を考察し、大変有益な示唆を受けている。甲骨文字と文献資料と実地研究とを結びつけ、多様な資料を活用し、地祇(土地の神)の信仰について考察した。 殷代信仰に関する研究を進める上で、各信仰対象に関するすべての卜辞の分析は、基本的かつ重要な意味を持つ。しかしこれまでこのような卜辞の分析を通時的な観点から行った研究は少ない。本研究では殷代信仰に関する具体的問題の解決を通じて、殷代信仰研究における全ての関連卜辞の断代と分析の有効性を示す。
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