2003 Fiscal Year Annual Research Report
抗SERA5抗体依存的マラリア原虫増殖阻害の分子メカニズム解明
Project/Area Number |
03J52711
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青木 彩佳 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 熱帯熱マラリア原虫 / ワクチン / SERA |
Research Abstract |
抗SERA抗体価の高い流行地の住民の血清はマラリア原虫の増殖を阻害し、この効果は、SERA組み換えタンパク質で中和される。このことから、抗SERA抗体が原虫増殖阻害の主要な部分を担っていると考えられるが、これらの血清から精製した抗SERA抗体だけでは原虫増殖を阻害しない。つまり、流行地域住民の血清には、抗SERA抗体による増殖阻害をサポートする因子が含まれると考えられる。そこで、この因子の流行地域住民血清からの同定を試みた。 しかし、現在まで使用していた、高度流行地域住民ウガンダ人の血清は、すでに使い切っているものや、古くなって増殖阻害率が悪くなっており、目的の実験を進めることが出来ない。そこで、新たにウガンダからマラリア原虫感染患者の血清101人分を持ち帰ってきた。ELISAにより、特に抗SERA抗体価の高い血清28サンプルを選出しそれぞれの血清を用いて、マラリア原虫増殖阻害実験を行った。その結果、コンスタントに増殖阻害とSERA組換え蛋白質による中和反応がある血清、2サンプルを確定した。 一方、SERAワクチンの免疫原性を調べるため、ヒトと同等の免疫系を持つチンパンジーに接種してきた。チンパンジーにおいて高い免疫原性が確認されたが、チンパンジー血清はワクチン接種の有無に関わらずマラリア原虫の増殖を強く阻害するため、ワクチン後得られたチンパンジー抗血清から抗SERA抗体のみを精製した。この抗体と高SERA抗体価ウガンダ人血清をマラリア原虫培養へ入れることで、原虫の増殖阻害の相乗効果がみられた。今後ウガンダ人血清中のどの成分が、抗体依存的な原虫増殖阻害をサポートする因子であるかを同定することで、マラリア防御免疫のメカニズム解明につながると考えられる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Krungkrai, S., Aoki, S., Palacpac, N.M.Q., Sato, D., Mitamura, T., Krungkrai, J., Horii, T.: "Human Malaria Parasite Orotate Phosphoribosyltransferase : Functional Expression, Characterization of Reaction Kinetic Mechanism and Inhibition Profile."Molecular and Biochemical Pamsitology. 134(2). 245-255 (2004)
-
[Publications] 堀井俊宏, 青本彩佳: "マラリア原虫の「アキレス腱」とSE36ワクチン開発"治療学. 37(6). 635-639 (2003)