2003 Fiscal Year Annual Research Report
労働市場における雇用と賃金の調整についての実証研究
Project/Area Number |
03J52771
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安井 健悟 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 雇用調整 / 不確実性 / ダイナミックパネル分析 |
Research Abstract |
今年度、私が行った研究は、雇用調整に対する不確実性の影響についての実証分析である。かつて日本の雇用は安定的であったが、企業による近年の雇用調整は急激であり、従来の連続的な部分調整モデルが妥当でない可能性がある。そこで、本研究では雇用調整に対する不確実性の影響についての実証分析を企業レベルのパネルデータを用いて行った。将来についての不確実性の高まりが企業行動に影響を与えていると言及されることがしばしばあり、実際に、不確実性が投資行動を抑制しているということが数多くの実証研究により確認されているが、不確実性と労働需要の関係についての研究はあまりなされていない。また、これまでの雇用調整についてのパネル分析とは異なり、本研究ではArellano and Bond(1991)によるGMM推定法により一致推定量を求めている。得られた結果は、調整速度が不確実性により変動するモデルが支持され、不確実性が企業の雇用政策に影響を与えていることが、いくつかの業種において確認された。しかし、不確実性の高まりが雇用調整の速度を速くするか遅くするかは業種によって異なる。 《参考文献》 Arellano, M. and Bond, S. (1991), "Some Tests of Specification for Panel Data : Monte Carlo Evidence and an Application to Employment Equations", Review of Economic Studies, Vol.58, pp.277-297.
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