2005 Fiscal Year Annual Research Report
国際商事仲裁と裁判所の関係の研究--仲裁誘致に向かう裁判所の役割の調整を中心に
Project/Area Number |
03J52811
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
王 欽彦 神戸大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 仲裁 / 国際商事仲裁 / 国際私法 / 仲裁人 |
Research Abstract |
仲裁の実体判断の準拠法を決めるために、仲裁法36条はそれ方法を定めるが、通常の裁判の場合と比べて、いくつの特殊性がある。それを明らかにするために、仲裁法36条の国際私法における問題点を考察する。36条1項は当事者自治を定めるが、国際私法7条1項の定める当事者自治との異同点を、渉外性、契約関係、非国家法等の側面から比較を行い、それに関連するスイス、フランス、ドイツの学説状況の考察も行う。36条2項は当事者の準拠法合意がない場合、仲裁人による準拠法認定の方法を定めるが、これに関して各国の立法例が異なるので、モデル法と英国法の「適用と思う国際私法の規定を適用して判断する」の方法、ドイツとスイスの「最も密接な関係の法」の方法、フランスとオランダ等の「voie directe」の方法、をそれぞれ考察し、その異同を比較する。仲裁法3項は、「衡平と善」による仲裁を認めるが、これに関して、各国の衡平仲裁の制度、衡平による仲裁と「友誼的仲裁人」の異同、を考察した。また、36条4項は契約条項の適用と慣習の考慮を定めるが、外国における理解および立法関係者の埋解を踏まえてその意義を探究する。 仲裁誘致を狙う仲裁伝の立法では、裁判所の役割は消極的に設定される。仲裁判断の内容に関して、裁判所が審査しない。しかし、消極的な裁判所の役割は、仲裁制度の本質的なものではない。近代の仲裁制度(ドイツ、フランス、イギリス)における裁判所の役割を考察することによって、裁判所の関係は積極的であったということが明らかである。仲裁法政策として、裁判所がどのよつな役割を担うべきかとは開放的な問題であり、今度の課題である。
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