2003 Fiscal Year Annual Research Report
九州における火山岩の化学的・時間的・空間的変遷の解明
Project/Area Number |
03J52841
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡慶次 聡 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 火成活動時空間進化 / 沈み込み帯 / プレート内玄武岩 / 地殻 / 九州 / フィリピン海プレート |
Research Abstract |
本年度の当初の計画は、北・中部九州(阿蘇火山を含む北東域)の火山岩および基盤岩の岩石記載・地球化学的データの抽出であった。 鏡下観察から、阿蘇火山を除いて大部分の構成岩石は角閃石-安山岩からデイサイトであるが、阿蘇火山の構成岩石には角閃石斑晶は含まれず、玄武岩〜流紋岩と幅広い。また、由布-鶴見火山、九重火山の岩石には融食形の石英とカンラン石が共存する、非平衡な鉱物組み合わせを呈するものが見られ、マグマ混合のイベントを被ったことが示唆される。主成分元素の結果から、北東九州の火山フロントの火山を含め、比較的新しい火成活動(約1Ma以下)に噴出した溶岩は、噴出年代がより若くなるにつれて、K_2O量が変動する結果が見られた。この結果は、単純なマグマの結晶分化では説明できない。マグマソースの違い、時間に伴ったソースマントルの部分融解度の変化、地殻物質の混染の寄与の違いなど、さまざまな可能性が考えられ、それぞれの火山で異なる発達機構をもつと思われる。年代測定・微量元素・同位体組成の地球化学的データの抽出を行うことで、九州の火山下で起きた諸現象に対してより明瞭な束縛条件を与えることができると考えられる。 今年度は主成分の結果をもとに、岩石を選定、微量元素・同位体比の測定を行う計画であった。しかし、2月から3月いっぱいまでの期間を北西九州の岩石のサンプリングにあてた。現在もフィールド調査の進行中である。来年度の前半の2〜3ヶ月は、既存のサンプルに北西九州のサンプルも加え、岩石記載・主成分元素・微量元素測定を行う計画である。
|