2004 Fiscal Year Annual Research Report
九州における火山岩の化学的・時間的・空間的変遷の解明
Project/Area Number |
03J52841
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡慶次 聡 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 火成活動時空間変化 / 沈み込み帯 / プレート内玄武岩 / 地殻 / 九州 / フィリピン海プレート |
Research Abstract |
本研究の目的は火山噴出物を用いて、時間・空間変化に伴ったマントルウェッジにおける地球化学的進化の解明である。本年度の当初の研究計画は、年度始めに再採取した九州の火山岩を含め(約500個)、詳細な岩石記載、主成分元素、微量元素測定を行う計画であった。現在も微量元素データ抽出に取り組んでいる。これらの既存のデータから、特に九州の最も古い火山活動の一つである北松浦玄武岩に注目した。なぜなら、本地域は西南日本のアルカリ岩石区の総体積の約半部を占めており、その大規模な火成活動は九州下のマントルの物理・化学進化に多大な影響を及ぼしたと考えられる。その活動は層序・記載岩石学から5つに分類される。また、1つのステージ内だけでも2〜3のトレンドが見られ、その変化は東から西へと分布域に依存しており、さらにその空間変化に伴って鉱物組見合わせ・モードが変化する。微量元素データから、それらの時空間変化が、マントルソースの不均質性または地殻の混成作用の寄与の空間変化である事が分かった。この解に対して、Sr-Nd-Pb同位体比の測定を行う事によって、束縛条件を与える事ができると考えられる。また、全岩分析と同時進行でカンラン石中のメルト包有物のスポット分析の準備を行っている。特に北松浦玄武岩の玄武岩には各ステージにかけて、カジラン石中のメルト包有物が見られ、それらがソースマントルの情報を保持している可能性があり、マントルの物理化学進化に束縛条件を与えると考えられる。
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