2003 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物の安全性評価と含有有害物質による応答性遺伝子特定
Project/Area Number |
03J52851
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 亜矢 岡山大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 廃棄物 / 重金属 / バイオアベイラビリティー / 小腸細胞 / 環境庁告示13号試験法 / 小腸上皮モデル / 安全性 |
Research Abstract |
文部科学省リーディングプロジェクト「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理と再資源化」の安全保障グループにより提供された焼却飛灰試料8種について、廃棄物の安全性評価を目的として、含有量試験、環境庁告示13号法(以下、環告13号法)、バイオアベイラビリティー評価のための抽出試験(以下、バイオアベイラビリティー試験)、および小腸細胞培養と負荷実験を行った。鉛、カドミウム、クロム、およびアンチモンは平均でそれぞれ1067mg/kg、34mg/kg、619mg/kg、303mg/kg含有されていた。環告13号法による溶出濃度はカドミウムとアンチモンが全ての試料において検出下限以下であった。一方、鉛とクロムは試料によって検出が確認されるものがあり、その含有量に対する溶出率は平均してそれぞれ30%、4%未満であった。有機酸と酵素を添加して胃(pH2)と小腸(pH7)の条件を再現したバイオアベイラビリティー試験は、環告13号法試験では捉えられないカドミウムやアンチモンの溶出を確認した。単純なpH調整試験による結果がpH2での溶出濃度がpH7での溶出濃度(検出下限以下であることが多い)より高かったのに対して、バイオアベイラビリティー試験の溶出濃度はpH7の小腸においても高かったことから、有機酸や酵素の添加により、ヒトの器官への曝露実態に近い条件を再現できたと推察される。このバイオアベイラビリティー試験で得られた小腸条件の抽出液を、小腸上皮モデルとして膜上に培養したヒト大腸癌由来細胞Caco-2に負荷して、重金属の小腸吸収を予測した。その結果、鉛、カドミウム、およびアンチモンは吸収される可能性が低いと考えられた。一方、クロムは吸収する可能性が示され、クロムが必須元素であることから妥当な結果であるといえる。
|