2004 Fiscal Year Annual Research Report
微小重力ストレスによる骨カルシウム代謝障害と代謝改善機能性食品の開発
Project/Area Number |
03J52891
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 匡俊 徳島大学, 栄養学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 微小重力 / ストレス / 腸管吸収 / 骨 / カルシウム |
Research Abstract |
安静臥床や神経麻痺などの微小重力ストレス状態では、全身性の廃用性骨萎縮を来し、身体機能のみならず精神・神経機能の低下を招き廃用性症候群を発症させる。一方、微小重力ストレス環境下においては尿中Ca排泄量だけでなく糞中Ca排泄量が増加することから腸管Ca吸収機能が低下すると考えられているが、その機序は明らかではない。そこで、微小重力ストレスによる腸管Ca吸収低下のメカニズムを解明する目的で、不動シグナルの副甲状腺ホルモン(PTH)及びビタミンD調節系への関与を検討した。全身性微小重力ストレスモデルはボールマンケージを用いて作製した。その結果、微小重力群(U群)では、対照群(C群)に比べ、腰椎骨密度は有意に低下した。また、糞中Ca排泄量が増加し、腸管Ca吸収率は低下した。さらに、U群ではC群と比べ、血中活性型ビタミンDは低下し、小腸十二指腸においては腸管Ca吸収に関与するTRPV6 (CaT1)及びCa結合タンパク質calbindinD9kの発現が低下した。しかしながら、結腸においてはTRPV6及びcalbindinD9kの発現は低下しなかった。そこで、PTH-ビタミンD調節系への影響を検討するため副甲状腺摘出(PTX)ラットを用いた。その結果、PTXラット(P群)とPTXラットを微小重力ストレス環境下においたUP群を比較検討したところ、1α水酸化酵素及び24水酸化酵素の発現に影響はなく、血中活性型ビタミンDレベルも変化はなかった。しかし、UP群では小腸十二指腸において、TRPV6及びcalbindinD9kの発現は低下した。従って、不動に伴う腸管Ca吸収の低下には、PTHを介したビタミンD依存性経路の低下が原因と考えられたが、それ以外に腸管Ca吸収を低下させる不動応答性因子の存在が考えられた。
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Research Products
(2 results)