2004 Fiscal Year Annual Research Report
滑らかでない非凸領域でのナビエ・ストークス方程式の解に対する数値的検証法の研究
Project/Area Number |
03J52911
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 弘治 九州大学, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 数値的検証法 / Navier-Stokes方程式 |
Research Abstract |
滑らかでない非凸境界を持つ定常Navier-Stokes方程式は,例えばステップ・フローを始めとする理工学上の問題などに現れ,その流体の動きを解析することは非常に重要であるが,内部角の影響による特異性などの為に理論解析が非常に難しい問題として知られている.一方,数値的検証法も非凸領域ではスペクトル法など矩形領域に対する手法の適用が困難である為,現在手付かずの状況である.それゆえ本研究では,九州大学中尾充宏研究室の共同研究として,一連の数値的検証アルゴリズムの開発を行った. 1.Driven-Cavity問題に関する有限要素法を用いた数値的検証の実現 Navier-Stokes方程式に対しては,スペクトル方を用いた手法以外には実用的な問題への検証例が未だほとんど存在しない為,先ず空間2次元凸領域でのDriven Cavity Problemに対して,有限要素法とその構成的事前誤差評価を用いた検証法の定式化と実際の検証を試みた.その結果,矩形領域においては海外における他の結果よりも遥かに小さな粘性係数に対応する数値的検証法の開発に成功し,このような手法の実用性が確認できた. 2.Navier-Stokes方程式における線形化逆作用素の直接評価法の構築 上記の結果をもとにして現在,空間2-3次元非凸領域でのNavier-Stokes方程式に対する数値的検証法について検討を進め,以下の成果を上げている. Navier-Stokes方程式ではStokes-射影に対する有限要素法の事前誤差評価が本質的に重要となる.そこで,非凸領域を包含する凸領域のH^1_0-射影に対する誤差評価定数を利用して,両領域の相対比率から非凸領域でのStokes-射影の構成的事前誤差評定数の計算法を開発し,行列固有値問題として精度保証付き数値計算により具体的に算定した.また,逆作用素の直接評価では射影部分の評価が大きな役割を果たすことになるが,Stokes-射影は直交射影ではない為にこの評価に新たな問題が生じる.よって,H^1_0-射影とStokes-射影を組み合わせて評価することにより,これを擬似鞍点型行列固有値問題へ帰着させて混合型作用素の直接評価を行うことに成功した.その有効性を確認する為,具体的問題に対する数値計算を進めた.
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Research Products
(3 results)