2004 Fiscal Year Annual Research Report
放射冷暖房使用時における高齢者の生理心理反応に関する研究
Project/Area Number |
03J52941
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Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
竹下 純子 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 特別研究員DC1
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Keywords | 床冷房 / 生理反応 / 心理反応 |
Research Abstract |
最近、快適な暖房方式として床暖房が推奨されているが、冷房に関しては、対流のみに依存する空気冷房が多く普及している。床暖房と異なり、床温を気温より低くした「床冷房」についての研究は、実験例が非常に少ない。本年度、本研究では、床温を気温より低くした「床冷房」下での生体影響を詳細に調査・検討した。 研究方法 1.実験施設および実験期間 実験は2004年7月に福岡女子大学大学院内の実験室にて行った。 2.被験者 被験者は福岡市近郊に住む健康な女子学生12名とした。 3.温熱環境条件 環境条件は気温30℃と床温28℃、気温28℃と床温26℃、気温26℃と床温24℃および気温30℃と床温26℃の4条件とし、湿度は60%に設定した。測定項目は皮膚温、体温、心電図、血圧、主観申告(温冷感、快適感、乾燥感、温熱的環境許容度、温熱的希望度)である。 4.実験手順 実験は被験者の朝食または昼食摂取から120分以上経過した時点で開始した。実験前に指定のTシャツ・スエットに着替え、心電図用電極、サーミスタセンサーを貼布し、90分安静滞在した。血圧、主観申告は10分毎に行い、呼吸統制は30分毎に行った。環境温度はあらかじめそれぞれの温度の条件に設定しておいた。 5.実験結果およびまとめ 本研究では、床温を気温より低くした「床冷房」下での生理・心理反応を検討した。各部位および平均皮膚温には有意差が認められたが、足底温と環境条件について着目すると、床温よりも気温のほうが、より影響を及ぼしていると考えられる。また本実験より、快適性が得られる環境条件が得られたが、必ずしも、床温のみ低くすれば良いというわけではなく、床温と気温の関係を調査する必要性があることが示唆された。また本実験で得られた快適条件下では、生態影響は認められなかったが、温冷感や不快感など心理的反応の個人差が大きかった。このことから、個人の身体特性についても調査する必要性が示された。
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