2003 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷に対する神経幹細胞移植及びセマフォリン3A等の軸策伸展阻害因子の中和
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03J53051
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金子 慎二郎 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 脊髄損傷 / 神経幹細胞移植 / 軸索伸展阻害因子 / Semaphorin3A / Semaphorin3A阻害剤 |
Research Abstract |
脊髄損傷に対する治療として、われわれはこれまで神経幹細胞移植の有効性を報告してきた。さらなる損傷軸索の再生を得る為には、中枢神経系に存在する軸索伸展阻害因子の問題の解決が重要となってくる。われわれは、軸索伸展阻害因子の1つであるSemaphorin3A(Sema3A)に対して最も強い阻害活性を持つ物質を同定し、その脊髄損傷に対する有効性を検討した。まず、in vitroにおけるcollapse assayやcollagen co-culture assayを用いて、約14万種類の化合物をスクリーニングし、Sema3Aに対する阻害活性の最も強い物質を同定した。次に損傷脊髄内におけるSema3Aなどの軸索伸展阻害因子の発現を経時的にWestern blotting等を用いて解析した後、本剤(SM-216289)の脊髄損傷に対する有効性を検討するために、成体ラット胸髄完全切断モデルを作製し、切断部にosmotic mini pumpを留置して4週間本剤を持続投与した。損傷後、BBB scoring等による経時的な運動機能評価を行い、また損傷後14週の時点でneurofilament(RT97)・GAP43・CGRP・vWF等に対する免疫組織染色等を行った。免疫組織学的解析では、本剤投与群では切断部及びその頭尾側部に有意に多くの再生軸索及び再生血管が認められ、また、損傷部に於いてapoptosisに至っている細胞数の有意な減少も認められた。さらに運動機能評価に於いては本剤投与群では非投与群と比較して有意な後肢運動機能の回復が認められた。これらの結果は、脊髄損傷後に発現する軸索伸展阻害因子の中で、Sema3Aが重要な役割を果たしていることを示唆するとともに、脊髄損傷の治療に於いて本剤が有効性を示す可能性を示唆するものと考える。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 金子慎二郎ら: "中枢神経系の再生医療"日本小児科学会雑誌. 106巻12号. 1736-1743 (2002)
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[Publications] 金子慎二郎ら: "中枢神経系の再生医療"日本医師会雑誌. 129巻3号. 355-359 (2003)
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[Publications] 金子慎二郎ら: "脊髄損傷に対する再生医療/神経幹細胞移植を中心として"脊椎脊髄ジャーナル. 16巻2号. 123-129 (2003)
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[Publications] 金子慎二郎ら: "脊髄損傷に対する神経幹細胞移植"先端医療シリーズ22/整形外科の最新医療. 22巻. 164-169 (2003)
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[Publications] 金子慎二郎ら: "脊髄損傷/神経幹細胞移植"Clinical Neuroscience. 21巻10号. 1150-1154 (2003)
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[Publications] Shinjiro Kaneko et al.: "Regenerative Medicine in Central Nervous System"Japan Medical Association Journal. in press. (2004)