2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J53081
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
酒井 正 慶應義塾大学, 商学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フリーター / 規制緩和 / 地域 / パネル・データ |
Research Abstract |
本年度は主に、前年度に慶應義塾大学経商連携21世紀COEプログラムにおいて実施された「第1回慶應家計パネル調査」を用い、若年時の就業状態の違いがその後の人生に及ぼしている影響の検証等を行なった。指導教授と共同して、慶應家計パネル調査の就業履歴情報を利用し、学卒後にフリーターになった者と正規雇用に就いた者のその後の就業・所得・結婚・出産を比較する分析を行った。その結果、フリーター経験者は正規経験者に比べて就業しても低い所得しか得ていないことや、フリーター経験者は正規経験者より結婚年齢が高く、またそのことを通じて出産年齢も高くなっていること等がわかった。これらのファインディングは論文としてまとめられ、『日本労働研究雑誌』2005年1月号に掲載された。更に拡張した分析は書籍の1章として近日刊行される予定となっている。 また、前年から分析を進めていたコーホート(世代)別の正規-非正規賃金格差に関する研究を日本経済学会において報告した。その際にフロアから有益な意見をもらい、投稿に際して改良を加えた。法と経済学会では、生産物市場における規制緩和が労働市場に与える影響についての研究を発表した。この研究では、参入制限等の規制による産業レントが当該産業で働く労働者に遍く分配されていたのかという視点から、既存研究の広範なサーベイと日本の金融業について男女別の簡単な実証分析を行っている。その他、地域ごとの若年人口規模の違いが、ウェイトの変化を通じて当該地域の総失業率に与える影響についての分析も行った。 パネル調査に関しては、本年度に第2回目が実施された。前年度の調査結果から明らかになった問題点の修正を行なうとともに、前年には調査票の紙幅の関係で含めることができなかった質問項目等を加えるため、パネル調査に関わる人たちと多くの議論を重ねた。
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Research Products
(1 results)