2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J53101
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡邉 大輔 慶應義塾大学, 大学院・政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高齢化 / 後期近代 / エイジングの社会学 / 地域社会 / 時間消費 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高齢者の行動の合理的根拠について時間の消費行動を中心に分析することである。この課題を検討するための仮説として、「後期近代における高齢者は、その行動を支えてゆく上で「近代的合理性」とは異なる合理的根拠を醸成し行動形成を行っている」をたて、考察を進めている。 2年度目である平成16年度においては、特に次の2点について調査、分析を行った。 (1)政策言説の分析 (2)過疎地域における聞き取り調査 (1)については、白書などを中心にこれまでの福祉、労働、医療政策などにおける「高齢者」に対しての政策言説の通史的分析を「高齢者」の多様化を軸に行った。この知見は次にまとめられる。A.福祉国家形成期においては、非労働者であり<弱者>としての「高齢者」の高齢に伴うリスクを社会的に管理されるべき対象とし、社会計画によるリスク管理が提起される、B.80年代以降においては、標準的なライフコースの解体や画一的からフレキシブルな管理といった労務形態の変化を背景に、社会計画によるリスク管理の客体から「高齢者」個人のライフ・プランニングによるリスク管理主体として位置づけられるようになる。この変化は、後期近代における「個人化」(Beck)という現象による影響が政策言説の変化からもみてとれることを示している。 (2)については、これまで国内の都市において調査を進めてきた経緯を踏まえ、地域間の比較を行うため過疎地域における調査を行った。調査地域としては、山梨県南巨摩郡早川町(47.2%、H12年国勢調査)を選定している。今年度、すでに予備調査時にヒヤリングを行った高齢者を中心に、日々の時間の使い方、およびライフストーリーの聞き取りを行った。特に、これまでの高齢化の経験(特に両親世代の老いの経験)をどのように語るかといった点について注目して聞きとり行った。同町への調査は次年度も継続して行ってゆく予定である。
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