2003 Fiscal Year Annual Research Report
TNFによる活性酸素依存性の細胞死のメカニズム解明
Project/Area Number |
03J53121
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中島 章人 順天堂大学, 医学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | TNF / NF-κB / 活性酸素(ROS) / FLIP / シクロヘキシミド(CHX) / MG132 |
Research Abstract |
我々はこれまでにTNF刺激による転写因子NF-κBの活性化が障害された細胞であるTRAF2/TRAF5ダブルノックアウトマウス(DKO)やRelAノックアウトマウス(p65KO)由来の細胞を用いた解析から、これらの細胞では通常速やかに起こる活性酸素(ROS)の除去に障害が生じ、その結果ROSの蓄積がもたらされることを明らかにしてきた(EMBO J.2003,22,3898-3909)。そこで今回我々は、TNFにより誘導されるROSの蓄積がどのようなメカニズムによりもたらされているかを検討することとした。 まず、TNF誘導性のROS蓄積を抑制する分子を明らかにするために、種々のシグナル伝達分子をDKO細胞に発現させ、TNFにより誘導されるROSに対する抑制効果を検討した結果、唯一FLIPのみがROSの蓄積をほぼ完全に抑制した。これまでの研究により、FLIPはNF-κB依存性に誘導され、タンパク合成阻害剤であるシクロヘキシミド(CHX)処理によりFLIPの発現レベルが減少すること、またプロテアソーム阻害剤であるMG132により発現レベルが上昇することから、FLIPは代謝分解速度の速いタンパクであり、そのことがTNF+CHX処理により誘導される細胞死の原因であると考えられてきた。しかし、TNF単独刺激で細胞死が誘導されるDKOやp65KO MEFにおいてもTNF刺激後約120分でFLIPの発現が消失することが初めて明らかとなった。このことは単にFILIPが分解の早いタンパクであるという理由だけではなく、TNF刺激により積極的に分解されていることを示している。インヒビターを用いた実験では抗酸化剤であるBHA、広範囲カスパーゼインヒビターであるz-VAD-fmk、あるいはMG132の前処理によってもFLIPの分解は完全に抑制出来なかったことより、その他のプロテアーゼの関与が考えられた。現在プロテアーゼの同定を行っているところである。
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