2004 Fiscal Year Annual Research Report
TNFによる活性酸素依存性の細胞死のメカニズム解明
Project/Area Number |
03J53121
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中島 章人 順天堂大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | TNFα / 活性酸素(ROS) / 細胞死 / NF-κB / カスパーゼ / c-FLIP |
Research Abstract |
本研究ではTNFレセプターを介するシグナル伝達分子の不活性変異体や野生型分子をNF-κB欠損細胞であるTRAF2/TRAF5 knockout(DKO)やRelA KO細胞に恒常的に遺伝子導入し、それぞれの分子のTNFα刺激依存性の活性酸素種(reactive oxygen species;ROS)産生への抑制の有無を検討した。その結果、不活性型のcaspase 8やdeath effector domainを欠損したFADDを発現させてもROSの産生に対する抑制効果は不十分であったが、c-FLIPを発現させた時にのみ、ほぼ完全にTNFα刺激によるROS産生が抑制されることが明らかとなった。さらに内因性のc-FLIPの発現レベルをWestern blot法にて検討したところ、野生型の細胞ではTNFα刺激前後でc-FLIPの発現に差は認められなかったものの、NF-κB欠損細胞では、TNFα刺激後早期にc-FLIPの分解消失が認められた。このc-FLIPの分解はカスパーゼインヒビターであるz-VAD-fmkや抗酸化剤であるBHAを用いても抑制されず、さらにcaspase 8のRNA干渉を行っても抑制されなかった。このことよりc-FLIPの分解は、カスパーゼ系やROSの下流で活性化されるプロテアーゼなどによらないことが明らかになった。以上より、これまで考えられてきたようにNF-κBがc-FLIPの発現レベルを上昇させることでアポトーシス抑制に関与するばかりでなく、NF-κBはc-FLIPのTNFα刺激依存性の分解を抑制することで、カスパーゼの活性化とROS産生の両者を抑制し、細胞死を抑制していることが示唆された。以上のことは研究代表者により第34回日本免疫学会総会・学術集会において口頭発表された。
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Research Products
(1 results)