2005 Fiscal Year Annual Research Report
TNFによる活性酸素依存性の細胞死のメカニズム解明
Project/Area Number |
03J53121
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中島 章人 順天堂大学, 医学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | TNFα / 活性酸素 / NF-κB / c-FLIP / JNK / カスパーゼ |
Research Abstract |
細胞の生と死は細胞内の様々なシグナル伝達によって綿密に制御されている。本研究は炎症性サイトカインtumor necrosis factor(TNF)αによって誘導される活性酸素(ROS)依存性の細胞死について解析した。 炎症性サイトカインtumor necrosis factor(TNF)α刺激を加えると、転写因子NF-κBの活性が障害された細胞では細胞死抑制タンパクであるc-FLIPが急速に分解されること、またこの細胞にc-FLIPを過剰発現させることでROSの産生がほぼ完全に抑制されることから、c-FLIPはROSの抑制に重要な働きを担っている事を明らかにした。c-FLIPの機能を調べるためにNF-κBの活性化が正常に起こる上皮系細胞でc-FLIPをノックダウンしたところ、コントロール細胞では認めないROSの産生とさらにc-Jun N-terminal kinase(JNK)活性の遷延化が認められた。また、このROS産生とJNKの遷延化はカスパーゼインヒビターで処理するとほぼ完全に抑制された。このことからc-FLIPはカスパーゼ依存的なROS産生経路を抑制していた。同様の結果はc-FLIPノックアウト細胞でも得られた。カスパーゼによるJNK活性の遷延化は、JNKの上流のMAPKinase kinase kinaseであるMEKK1がカスパーゼにより活性体となることで誘導されていた。次にc-FLIPがMAPKカスケードのどのレベルを抑制しているかを検討したところ、MAPKKであるMKK7とc-FLIPが直接結合して抑制していることが明らかになった。 以上のことから本研究により新たにc-FLIPはカスパーゼ経路とMKK7-JNK経路の2つを抑制することによってカスパーゼ依存的あるいは非依存的なROS産生を抑制していることが示された。
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Research Products
(2 results)