2003 Fiscal Year Annual Research Report
人体運動シミュレータとしての応用を目指した2足ヒューマノイドロボットに関する研究
Project/Area Number |
03J53201
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小椋 優 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 2足歩行 / ヒューマノイドロボット / 膝関節の伸展 / 人体運動シミュレータ |
Research Abstract |
これまでに報告者は,早稲田大学理工学部高西研究室において,2足ヒューマノイドロボットWABIAN-2 LL(WAse da BIpedal humANoid-2 Lower Limb)の開発に従事し,従来の2足歩行ロボットでは困難である膝関節を伸展させることが可能な膝関節伸展型歩行を実現した.しかしながらこれまでの研究成果のみによっては,本研究の目的である人体運動のシミュレートの実現は困難であると考えられたため,本年度は,これまでに開発された膝関節伸展型歩行のパターン生成,および機械モデル(ロボット)の問題点を明らかにし,その改良を行った. 膝関節伸展型歩行パターン生成においては,立脚の膝関節軌道を歩行運動の初期パラメータ指定することで,膝関節伸展時の逆運動学を用いることによる特異姿勢の問題を回避していたが,その問題点として,立脚と遊脚の切り替え期に膝関節で生じる運動パターンの急激な速度変化が挙げられた.そこで本研究では,歩行中の膝関節軌道をその全周期にわたって任意に指定することで前述の問題を解決し,腰の旋回運動を用いることで,両脚による腰の平面運動の幾何学的拘束を免れることの出来る膝関節軌道指定型下肢運動パターン生成法を開発した. また,ソフトウエアシミュレーション上の歩行パターンを実際の機械モデルに適用した場合の誤差について,その主な原因が機械剛性の不足によるものであることが明らかになった.そのため,構造部材の強化・アクチュエータシステムの見直しを行った. 改良されたWABIAN-2 LLに膝関節軌道指定型下肢運動パターンを適用して歩行実験を行い,従来,一歩0.20[m]であった最大歩幅を0.35[m]へと伸ばした歩行を実現した.これによって,人間と同等の歩行を2足ヒューマノイドロボットによって実現する基盤の一つを構築することが出来たと考えられる.
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