2003 Fiscal Year Annual Research Report
女性の職業経歴とライフコースの関係:企業内外における技能蓄積がもつ効果に着目して
Project/Area Number |
03J53271
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
吉田 崇 同志社大学, 文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 技能形成 / 職業経歴 / ライフコース |
Research Abstract |
本研究は、女性の就業継続率を高める諸要因について、技能蓄積の観点から計量分析を行ない、基礎的資料を提供するとともに、問題解決のための具体的方策を提案することを主たる目的とし、さらに、これまで十分に発達してこなかった職業経歴データの分析手法を開発することを副次的な目的としている。 まず、女性のライフコースと職業キャリアについては、「『主婦化』の進展とその変容-社会進出へのトレンド転換を再考する」と題して、10月に第76回日本杜会学会大会(於:中央大学)で報告した。これは、個々人のライフコースを考慮した実証分析の結果、女性の杜会進出が進んだとする通念は誤っていることを示したものである。さらに、この報告をもとに、戦後の女性の杜会進出について再考した論文を作成し、12月に学術誌へ投稿した(審査中)。また、高度経済成長期の職業キャリアについて、就業継続や離職、転職というモビリティ(移動性)の観点から分析し、1月に「初期キャリアにおけるモビリティ-高度成長期の若者たち」と題して『評論・社会科学』に投稿し、3月に刊行された。この論文では、男性の場合、高学歴化が進み、学校や職場での技能形成が就業継続に効果をもったのに対し、女性では高学歴化が進んだものの、学校でのスキルが男性とくらべて職業と直結しておらず、さらに企業内での技能形成のチャンスにも恵まれていなかったため、企業への定着はライフ・イヴェントによって大きく左右されたことを示した。 また、職業経歴データの分析手法については、職歴および家族イヴェントの調査・分析法に関する学外の調査研究プロジェクトに参加し、調査票の作成を行なった。これについては先行研究についての文献研究をすすめているが、調査データは集計中であるため、まだ分析は行なっていない。
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Research Products
(1 results)