2003 Fiscal Year Annual Research Report
中東のキリスト教におけるギリシャ語旧約聖書の受容と伝播
Project/Area Number |
03J53281
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
横田 徹 同志社大学, 神学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 新約聖書 / 旧約聖書 / 七十人訳聖書 |
Research Abstract |
本年度は、本研究課題であるギリシャ語旧約聖書(「七十人訳聖書」)の全般的な議論の検討を行ってきた。七十人訳聖書は、それ自体で旧約聖書や新約聖書とも異なる成立過程や本文伝承、そして独特の解釈を持ち合わせており、固有の問題や方法論で対処しなくてはならず、その部分に集中することにした。そこで欧米で出版されている文献をもとに、重要な論点のまとめを行っている最中である。これらの議論の中では、七十人訳聖書の研究は、キリスト教側のアプローチだけではなく、特に紀元後1〜2世紀のユダヤ教からの接近も重要であり、それゆえに、さらなる七十人訳聖書の原本であるヘブライ語聖書ならびに、その伝承史を検討する必要があるといえる。この場合、神学的な側面に留まらず、言語学、中でも意味論的な側面からの接近や、同時代のギリシャ文学からのアプローチを試みる必要がさらにあると思われる。 また、昨年に「使徒言行録における詩編」という論題で研究発表を6月に行い、使徒言行録において詩編がどのように引用されているかを検討しているが、これを受けて、旧約聖書の特定の文書ではなく、「聖書」という表象がどのように受容されていったかを検討している。具体的は、ルカ文書において「聖書」並びに「聖書」を示唆する語句の調査を行い、どのように受容されていっているのか見るものである。この研究に関しては、現在進行中である。なお、この研究は平成16年度中にまとめて、研究発表を行う予定である。
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