2003 Fiscal Year Annual Research Report
新たな細胞移植法の確立と腹膜透析モデルでの骨髄単核球細胞を用いた腹膜再生の検討
Project/Area Number |
03J53301
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
今田 崇裕 関西医科大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 骨髄単核球細胞 / 腹膜透析 / 腹膜中皮細胞 / 細胞移植 / 再生医療 |
Research Abstract |
維持透析療法には血液透析と腹膜透析の2つの方法が存在する。血液透析は透析装置や透析技術の進歩により安定した治療効果が得られる利点があるが、拘束時間が長く、腹膜透析に比べ、一人当たりの医療費が高いなどの問題点がある。一方、腹膜透析は、残腎機能の保護に優れ、心循環系への負担も少ない等血液透析に比べて医学的に優れた点があり、さらに、通院が2週間に1回程度ですみ、医療費も血液透析に比べ安価であるといった利点がある。しかし、腹膜透析の最大の問題は、腹膜機能の経時的劣化が避けられない点である。このため実施可能期間が約5〜10年といった制約がある。したがって、腹膜透析において、腹膜機能の劣化をいかに抑制するか、あるいは劣化した腹膜機能を回復させるかが、重要な課題である。現段階において腹膜機能を改善させる治療法は存在しない。そこで、我々は、これまでに開発した自己骨髄細胞を用いた自己組織の再生の技術を応用して、自己腹膜を再生し、腹膜機能の改善を図ることを目的とした。 それには、(1)いかに骨髄中の幹細胞より腹膜中皮細胞を分化させるか、(2)腹膜中皮細胞への分化能を有した骨髄細胞をいかに患者腹膜にデリバリーするか、がまず大きな課題となる。一年目である今年度は、高濃度ブドウ糖腹膜透析液を使用した長期腹膜透析モデルラット(腹膜障害モデル)を作製し、このモデルで、腹膜障害が起こっていることを病理組織的に確認する。骨髄単核球細胞移植法の確立と、腹膜中皮細胞への接着、分化の確認を目標とした。3週間の腹膜透析により、ラット腹膜固有層の膨化を確認した。また、markingした移植骨髄単核球細胞は障害した腹膜表面に生着していた。これらのことを、第47回日本腎臓学会、XLIERA-EDTA Congress(Lisbon, Portugal, May 15-18 2004)に採択され報告します。
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