2004 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性と糖尿病性血管合併症における酸化ストレス及びiNOSの役割
Project/Area Number |
03J61502
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤城 緑 東北大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | インスリン抵抗性 / 糖尿病 / 糖尿病性血管合併症 / 酸化ストレス / 血管内皮細胞 / トランスジェニックマウス / Nuclear Factor kappa / 誘導型-酸化窒素産生酵素 |
Research Abstract |
酸化ストレス亢進は、インスリン抵抗性と糖尿病性血管合併症の両者の発症や進展に様々な影響を及ぼしていることが想定されている。実際、高血糖状態では血管においてNF-κBの活性化が認められており、本研究は、NF-κB経路のインスリン抵抗性や糖尿病性血管合併症への関与を解明することを目的に始められた。既に1年目の研究によって、血管内皮細胞特異的にNF-κB系を抑制する因子(dominant negative I-kappaB、以下DN-IκBと省略)を過剰発現させたトランスジェニックマウスが10系統得られている。2年目の研究では、これらの10系統のマウスに、NF-κB経路を活性化させるサイトカインであるTNFαを静脈注射し、TNFα刺激によるNF-κB(p65)の細胞質から核への移行を検討した。具体的には、TNFα刺激後のマウスの動脈を取り、抗NF-κB抗体による免疫染色を行い、核への移行を確認した。その結果、DN-IκBを過剰発現するトランスジェニックマウスでは、NF-κBの核への移行が阻害されていた。DN-IκB過剰発現トランスジェニックマウスでは、NF-κB経路が抑制されており、IκBのdegradationが起こらないため、NF-κBのTNFα刺激による核移行が阻害されたと考えられた。今回の実験結果から、これらのマウスを高脂血症や糖尿病状態にすることで、血管合併症の進行への影響を検討することが可能になるとともに、グルコースクランプ法の他、筋肉や肝臓における糖取り込みやグリコーゲン合成、さらにはインスリンの細胞内シグナル伝達への影響を検討することで、インスリン抵抗性の機序を解明することが可能になると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Oxidative stress induces insulin resistance by activating the nuclear factor-kappa B pathway and disrupting normal subcellular distribution of phosphatidylinositol 3-kinase.2004
Author(s)
Ogihara T, Asano T, Katagiri H, Sakoda H, Anai M, Shojima N, Ono H, Fujishiro M, Kushiyama A, Fukushima Y, Kikuchi M, Noguchi N, Aburatani H, Gotoh Y, Komuro I, Fujita T
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Journal Title
Diabetologia 47・5
Pages: 794-805