2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規ヒトIAPファミリータンパクApollonの機能解析
Project/Area Number |
03J61504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石岡 利康 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ユビキチン / アポトーシス / カテニン |
Research Abstract |
これまでの研究から、ヒトIAPであるApollonの抗アポトーシス作用の一因として、Apollonがアポトーシス関連分子のSMACを直接ユビキチン化し分解を促進することがわかっている。そこで、ApollonによるSMACのユビキチン化を阻害する分子のスクリーニングを行ったところ、抗アポトーシス分子であるFLIPがApollonのユビキチン化活性を阻害することが分かった。FLIPは、Apollonに直接作用せず、また、ApollonによるSMACのユビキチン化以外にも、XIAP、β-catenin、S100A10など、数多くのユビキチン化基質のユビキチン化やその分解を阻害した。ユビキチン化阻害により、FLIPはApollonを含め多くのシグナル伝達系に影響を与えることが推測されたので、個々の分子に対する影響の一つとして、β-cateninのシグナル系に対する作用について検討した。その結果、FLIPの過剰発現によりβ-cateninのSCFによるユビキチン化および分解が阻害され、強くWntシグナルを誘導する(もしくはWntに対する反応性が向上する)ことが分かった。またその際にFLIPはβ cateninの分解系であるGSK3β/APCやSCFには直接作用せず、ユビキチンの局在を変えることでβcateninやSMACなど様々な分子のユビキチン化を阻害することが分かった。 このように、ApollonによるSMACのユビキチン化やSCFによるβ-cateninのユビキチン化をはじめとして様々な分子のユビキチン化を阻害活性を持つFLIPは、従来知られてきたようなcaspase活性阻害のみではなく、様々なアポトーシス関連分子のユビキチン化を阻害することで細胞死に影響を与え得ることが推測される。
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