2003 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成および癌化におけるDLG蛋白質の機能的役割に関する研究
Project/Area Number |
03J61506
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 文昭 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DLG / tumor suppressor gene / SH3 domain / GK like domain / intra molecular binding |
Research Abstract |
discs-large (dlg)遺伝子はショウジョウバエの癌抑制遺伝子として同定され、その遺伝子の変異は成虫原基細胞の異常増殖を引き起こすことが知られている。ホ乳類ホモログであるDLGは様々な分子群と結合し、細胞膜タンパク質の裏打ち構造の維持、シグナル伝達分子の集積等、その機能は多岐に渡る。なかでもDLGは、高発癌性パピローマウイルスのE6癌遺伝子産物と結合しプロテオソーム依存的な分解を受ける、大腸癌の癌抑制遺伝子APCの産物と複合体を形成し細胞増殖抑制シグナルを相乗的に促進する、といった活性を有することから、細胞癌化と密接に関わっていると推測される。ゆえにDLGの機能を解析することは細胞増殖制御、癌化のメカニズムを明らかにする上で極めて重要であると考えられる。本研究は、1)Dlg遺伝子コンディショナルノックアウトマウスを作製し、その表現形質を解析する2)細胞癌化において機能的重要性が示唆されているSH3、GK様ドメインに結合する分子を同定、解析することで、癌発症におけるDLGの機能を包括的に明らかにしていくことを目的としている。 1:Dlg遺伝子コンディショナルノックアウトマウスの作製 現時点までに作製、取得したキメラマウスは、いずれもES細胞が生殖系列に分化していない。現在、キメラマウス作製中である。 2:yeast two-hybridシステムにより見出されたhDLG新規結合分子B-3、F-2の解析 B-3、F-2共に全長をコードするcDNAを取得した。B-3は細胞の増殖、分化に重要な働き果すTranscription enhancer factor 4と部分的な相同性が確認されることから、hDLGはB-3と共役することで、遺伝子転写を制御しているのではないかと考えられた。現在、B-3、F-2それぞれに対する特異的抗体を作製し、細胞内におけるhDLGとの複合体形成の有無を免疫沈降実験等により検討している。同時に、プロモーター領域にTEF-binding consensus sequenceを含むレポータープラスミドを用い、hDLGがB-2の遺伝子転写制御にどのような影響を及ぼすのか、検討している。
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