2004 Fiscal Year Annual Research Report
培養分化系における血球細胞の膜タンパク質に関する網羅的解析
Project/Area Number |
03J61508
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾山 大明 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | プロテオミクス / LC-MS / MS / 膜タンパク質 / K562 / TPA / 巨核球 |
Research Abstract |
昨年度は、ヒトK562細胞のTPA(12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)刺激による培養分化から膜画分の精製を経て、質量分析計のサンプル調製に至るまでの手順の確立を行った。本年度はTPAにより巨核球に分化誘導させたヒトK562細胞と未分化のコントロールK562細胞の双方の膜画分から調製したサンプルをnanoLC-MS/MS systemに導入し、膜画分に含まれるタンパク質に関して広範囲にわたる同定を行った。TPAにより刺激した細胞の膜画分からは292個、コントロール細胞の膜画分からは415個のタンパク質が同定され、それらの中で201個のタンパク質に関しては双方のサンプルから同定された。同定されたタンパク質の中には細胞膜に存在すると考えられるタンパク質に加え、細胞骨格系のタンパク質やリボソームタンパク質、機能未知のタンパク質も多数含まれていた。また我々の研究室ではヒト完全長cDNAの大規模配列収集及び解析(FLJプロジェクト)が行われ[Ota et al. (2004)Nat.Genet.36,40-45]、一万種類以上の新規のcDNA配列が明らかになったことから、当プロジェクトのcDNAデータベースに対して検索をかけることにより、新規のタンパク質の探索を試みた。その結果、101種類の新規タンパク質が新たに同定され、その中にはEnsemblで予測されているものが65種類、各種遺伝子推定プログラムによって予測されているものが11種類、既存のプログラムによって推定されていないものが25種類含まれていた。本研究の結果より、膜画分に存在する300から400種類のタンパク質に関して分化誘導における発現の挙動を知ることが出来た。またその中には新規のタンパク質が多く含まれることから、K562細胞の巨核球への分化誘導において多くの機能未知遺伝子の関与が示唆された。本研究の方法論を用いることによって細胞膜付近に存在するタンパク質の包括的なプロファイリングをハイスループットに行うことが出来、他の細胞、組織または生命現象に対しても応用することが可能であると考えられる。
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Research Products
(1 results)