2003 Fiscal Year Annual Research Report
Bリンパ球の増殖、分化とNF-κB活性化に関する研究
Project/Area Number |
03J61509
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加来 寛明 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | CD38 / NF-κB / Bリンパ球 / 抗体産生 / クラス変換 / 増殖 / PI3-K / PLC-γ2 |
Research Abstract |
【目的】我々はBリンパ球上に強く発現するCD38に着目し、マウス脾臓Bリンパ球上のCD38を抗CD38抗体で架橋すると、増殖反応、IgG1へのクラス変換に必要な胚細胞型γ1RNA転写の誘導が起こることを報告してきた。私はこれまでにCD38刺激におけるBリンパ球の活性化はNF-κB依存的であり、その過程にBtkが必須であることを明らかにしてきた。本研究はさらに解析を進め、NF-κBの活性化を指標として、Bリンパ球におけるCD38のシグナル経路を探索することを目的とする。今年度はPI3-KやPLC-γ2がCD38シグナルへ関与するか否かの解析を行った。それにより、Bリンパ球の増殖機能や抗体産生の機序を解明する上で大きな足掛かりを掴むことができると考える。 【方法】野生型及びPI3-K、PLC-γ2の遺伝子欠損Bリンパ球を用いて、CD38刺激し、NF-κBの活性化をEMSAで、胚細胞型γ1RNA転写をRT-PCRで、増殖反応をチミジンの取込みにより評価した。 【結果】PI3-K及びPLC-γ2遺伝子欠損Bリンパ球とも野生型Bリンパ球と比較して、顕著にCD38刺激によるNF-κBの活性化が減弱していた。また両遺伝子欠損Bリンパ球ともCD38刺激による胚細胞型γ1の転写や増殖反応が著しく減少していた。 【結論】CD38刺激によるNF-κBの活性化、胚細胞型γ1の発現誘導、増殖反応に、PI3-KやPLC-γ2が必須の役割を果たすことを明らかにすることができた。今後はこれらのシグナル分子の活性化に必要だといわれているBASHやカルシウム流入などが、CD38シグナルに関与するかどうかを明らかにして行く予定である。またCD38に結合する分子の探索も合わせて行い、CD38のBリンパ球におる機能を明らかにしていきたい。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] H.Kaku, K.Horikawa, Y.Obata, H.Okamoto, N.Sakaguchi, S.Gerondakis, K.Takatsu: "Nuclear factor κB is required for CD38-mediated induction of Cγ1 germline transcripts in murine B lymphocytes"International Immunology. 14. 1055 (2002)
-
[Publications] K.Horikawa, H.Kaku, H.Nakajima, H.W.Davey, L.Henninghausen, I.Iwamoto, T.Yasue, A.Kariyone, K.Takatsu: "Essential role of signal transducer an activator of transcription (Stat) 5 for Interleukin-5-dependent IgH switch recombination in murine B cells"Journal of Immunology. 167. 5018 (2001)