2003 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌における遺伝子発現プロファイリング解析とその診断・治療への応用
Project/Area Number |
03J61512
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金城 聖文 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ゲノムサイエンス / 癌 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
今年度は、肝細胞癌の臨床検体から抽出したRNAを材料に、Genechip解析を行った。その結果から、癌部で特異的に発現亢進している遺伝子を診断・治療に有用な遺伝子として選出し、その遺伝子がコードするたんぱく質を発現させて、そのたんぱく質に対する特異的抗体を作成中である。 また、肝細胞癌において高頻度に変異が存在する癌抑制遺伝子p53に着目し、診断・治療の観点から、以下のような実験を進めている。 (1)p53ファミリー遺伝子下流解析 それぞれp53、p63、p73由来のTAドメイン・DBドメイン・OLドメインからなる複数のキメラ遺伝子をアデノ感染させたA549細胞株(肺ガン由来)mRNAのGenechip解析を行った。 キメラ遺伝子をヌードマウス皮下に移植した癌組織に注射することで、p53そのものよりも大きな抗癌作用を持つものが存在することが明らかになった。このキメラ遺伝子を用いた癌遺伝子治療が期待される。また、治療に用いる上で、そのメカニズムについての理解は必須であり、発現誘導される下流遺伝子との関係について解析を進めている。 (2)DNAダメージの大きさに対して、細胞がSurviveかCell deathかを決定するメカニズム 癌抑制遺伝子p53は、細胞外部からの刺激に応答して、リン酸化を受け、細胞がアポトーシスに向かうためにはこのリン酸化が必須であることが知られている。しかし、一方でp53下流の活性化とリン酸化とは必ずしも相関しないことも知られており、どのようなメカニズムで細胞の運命を決定するのかは未だ明らかになっておらず、効率的な遺伝子治療を行ううえで、その理解は重要となる。 そこで、p53リン酸化以外に、下流を決定するメカニズムが他にも存在するものと考え、その探索を進めるための予備実験を進めている。 以上
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