2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子治療と免疫治療を併用した新規がん免疫遺伝子治療法の確立
Project/Area Number |
03J61515
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 利宙 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 樹状細胞療法 / 塩酸ゲムシタビン / 免疫調節サイトカイン / 免疫遺伝子治療 / siRNA / VEGF |
Research Abstract |
今年度、本研究ではゲムシタビンと樹状細胞(DC)の併用療法の確立を目的とした実験を行った。現在までに、ゲムシタビン単独投与による一過性の抗腫瘍効果、ならびに脾臓におけるCD4およびCD8陽性T細胞の比率の増加が報告されている。そこで我々の実験系において同様の検討を行ったところ、単独投与による抗腫瘍効果は確認できたが、二次リンパ組織におけるT細胞の増加は確認できなかった。さらに、ゲムシタビン投与とともに未成熟DCを腫瘍内投与し併用効果を検討したが、抗腫瘍効果の増強は確認できなかった。以上の結果から、ゲムシタビンとDC療法との単純な併用では、治療効果の改善につながらないことが示唆された。 腫瘍を標的とした免疫療法を考えるうえで、腫瘍由来因子による抗腫瘍免疫の抑制が重要な問題としてあげられる。このような因子の発現抑制にsiRNA発現ベクターが有用ではないかと考え以下の研究を進めた。 まず、腫瘍細胞におけるVEGFの発現をRNAiにより抑制することを試みた。VEGFは、DCの分化阻害および機能抑制を誘導することが報告されている。VEGFを標的としたsiRNA発現ベクターを作成し、Effectene Transfection Reagent(QIAGEN)を用いてMCA205にトランスフェクションした。その結果、MCA205におけるVEGFの発現を約3分の1に抑制することができた。次に、腫瘍由来因子がDCの分化に与える影響を検討した。NIH3T3またはMCA205の培養上清を用いてDCを誘導し、産生されるCD11c+細胞の数およびClassIIの発現を比較したが、顕著な差は認められなかった。DCのT細胞刺激能においてVEGFの影響を検討した報告がなされていることから、培養上清を用いて誘導したDCのT細胞刺激能を検討する必要があると考えられる。
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