2004 Fiscal Year Annual Research Report
増殖抑制因子Tobを含んだ転写制御複合体因子群の探索と解析
Project/Area Number |
03J61520
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮坂 隆 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞増殖抑制因子 / Tob / タンパク質複合体精製 / MALDI-TOF / TOF / CCR4-Not / Cnot1 / RNAi / スプライシング |
Research Abstract |
私は細胞増殖抑制因子Tobの機能を解析するために、MALDI-TOF/TOFによるTob複合体因子群を同定した。はじめにFlagタグを融合したTobを安定に発現するHeLa.S3細胞株を樹立した。次に、この細胞から精製したTob複合体をSDS-PAGEにより展開しクマシー染色した結果、複数のバンドが検出され、それらをMALDI-TOF/TOFによって同定した。これらのうち250kDa付近のタンパク質は、転写制御やmRNA代謝に関わるCCR4-Not複合体の主要因子Cnot1であることがわかった。他にもCnot7を含むCCR4-Not複合体構成因子が多数同定された。またグリセロールグラジエント法によってCnot1、Tob、Cnot7が同じ複合体を形成していることもわかった。 これらTob複合体因子群のなかでも、酵母や植物でも保存されており、複合体内でも足場としての機能が考えられているCnot1の機能について、RNAi法や過剰発現系用いた解析を進めた。RNAi法によって発現を抑制されたHaLa細胞の増殖は遅くなり、このことからもCnot1は細胞増殖の制御に何らかの影響をもっていることが示唆された。またcyclinD1プロモーターの活性を上昇することも見出した。 上記のタンパク質精製においてmRNAのスプライシング制御に関わるSam68などのRNA結合タンパク質も複数同定され、これらのことからTobを含む複合体とmRNA代謝との関わりが推測された。Sam68の標的であるCD44 mRNAのスプライシングパターンをCnot1の過剰発現系で調べたところ、一部のバリアントフォームの発現が抑制された。 以上、本研究によってCnot1が細胞周期の制御に関わっていることが示され、またCnot1のmRNAスプライシングとの関与を示唆するデータが得られた。
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