2004 Fiscal Year Annual Research Report
特異的阻害剤を用いたアルツハイマー病γセクレターゼ複合体構成因子の同定と機能解析
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03J61522
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
諸橋 雄一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経変性疾患 / アルツハイマー病 / γ-secretase / Presenilin / 阻害剤 / 光親和性標識 |
Research Abstract |
γ-secretaseはβ-amyloid precursor protein(APP)の膜貫通部位内を切断し、amyloid β-peptide(Aβ)産生の最終段階を担うプロテアーゼであり、γ-secretaseによる膜内配列切断機構の研究はアルツハイマー病発症機構の解明と治療薬の開発にとって重要である。遷移状態アナログ以外の構造をもつ各種の阻害剤によるγ-secretase阻害の分子機構は、その標的蛋白質・結合部位を含めほとんど明らかにされていない。私は、このような阻害剤の一つであるdipeptide型化合物DAPTの誘導体を用いて、その標的蛋白質の探索及びDAPTによるγ-secretase阻害機構を解析した。DAPTの標的分子を同定するため、光感応基benzophenone、およびbiotinを導入した誘導体DAP-BpBを合成し、光親和性標識法を応用してDAPT標的蛋白質同定を試みた。その締果、DAPTはγ-secretaseの活性中心サブユニットであるPS1/PS2 CTFの第7膜貫通部位以降に結合すること、DAPTは活性型γ-secretaseに特異的に結合することなどを見出した。さらに、DAPTと構造が類似する、あるいは異なる各種γ-secretase阻害剤を標識競合剤として用いることにより、これらの化合物の作用機構とDAPT作用機構との異同について検討した。その結果、DAPTと類似のdipeptide型化合物、ならびにsulfonamide型化合物は同一の部位に結合していることが示唆された。一方、遷移状態アナログ型化合物、ヘリックスペプチド型化合物はDAPTよりも弱い標識阻害効果を示した。これらの結果からDAPTの結合部位は触媒部位や基質結合部位に近接しているが、異なると考えられた。
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Research Products
(1 results)