2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61531
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 千種 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 樹状細胞 / インターフェロン / 二重鎖RNA / ウイルス感染 / RelA / TLR3 / PKR / ケモカインレセプター |
Research Abstract |
有効な腫瘍免疫反応の惹起には、樹状細胞の機能発現が必須である。樹状細胞の成熟・機能発現にインターフェロンがどのように関与しているかを解析した。刺激の種類によりインターフェロンの関与様式は異なり、LPSや(CpG刺激の場合、インターフェロンβのみ産生され、樹状細胞の成熟へのインターフェロンシグナルの関与は薄いが、ウイルス感染を模倣すると考えられる二重鎖RNA及びウイルス感染の場合はインター・フェロンα、β共産生され、又産生量が多く、インターフェロンシグナルが樹状細胞の成熟(共同刺激分子の発現、サイトカイン産生)に不可欠であることが分かった。二重鎖RNA刺激では、反応初期にはインターフェロン受容体欠損マウスでもサイトカイン産生は野生型と差がないが、その後差が拡大する。興味深いことに、Rc1Aの活性化が二重鎖RNA刺激初期には野生型と差がないが、その後差が拡大する。反応初期にはインターフェロン等のサイトカイン産生や遊走能の獲得が起こり、後期にはインターフェロンシグナルがサイトカイン産生を維持し、樹状細胞の成熟を促進するというシステムが形成されていることが示唆された。一方、樹状細胞の二次リンパ組織遊走に必要なCCR1、CCR7の発現はインターフェロンシグナルを必要としなかった。Newcastle disease virus (NDV)感染において、インターフェロンシグナル非存在下では樹状細胞の成熟障害が見られるが、インターフェロンシグナルの標的分子であるTLR3、PKRを欠損するマウスでは樹状細胞の成熟障害は殆ど見られず、樹状細胞の成熟におけるインターフェロンシグナルの複雑性が示唆された。インターフェロン受容体欠損マウスでは、CD86やTNF-alphaの発現がNDV感染初期には野生型と差がないが、その後差が拡大する。NDV感染においても、RelAの活性化がNDV感染初期には野生型と差がないが、その後差が拡大する。また、NDV感染においても樹状細胞の二次リンパ組織遊走にはインターフェロンシグナルを必要としなかった。 以上の様に、インターフェロンは、樹状細胞の刺激の種類により選択的に異なる、複雑な様式で、樹状細胞の成熟に関与することが示された。
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Research Products
(1 results)