2003 Fiscal Year Annual Research Report
マウス肝細胞におけるToll様受容体の発現および機能調節に関する研究
Project/Area Number |
03J61536
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松村 隆之 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | Toll様受容体 / サイトカイン / 急性期タンパク質 / 肝細胞 |
Research Abstract |
近年,Toll様受容体(TLR)とよばれる一群のタンパク質が,自然免疫における菌体成分のパターン認識を担う受容体として重要な役割を果たしていることが明らかにされつつある. 申請者は,全身性の炎症モデルとしてリポ多糖(LPS : TLR4リガンド)をマウスに投与したところ,TLR2 mRNA発現が,肝臓において顕著に誘導されることを明らかにしている.そこで,初代培養マウス肝細胞におけるTLR2発現調節に関して詳細に検討した.マウス肝細胞におけるTLR2 mRNA発現は,炎症性サイトカインであるインターロイキン1α(IL-1α)や腫瘍壊死因子α(TNFα),及び菌体成分であるLPSやリポペプチド(BLP : TLR2リガンド)刺激により誘導されること,それはTLR2 mRNAの安定性増加によるものではなくTLR2プロモーター領域の転写活性化によるものであることが明らかとなった.また,IL-1αによるTLR2プロモーター領域の転写活性化にはTNF receptor-associated factor 6 (TRAF6)を介したNF-κB活性化シグナルが必須であることが明らかとなった.肝細胞から産生される急性期タンパク質の1つである血清アミロイドA (SAA)のプロモーター活性とマウス血清中のSAA産生量を測定したところ,IL-1α前処理によって機能的なTLR2発現が増強することにより,肝細胞のTLR2リガンドに対する応答性が増強されることが示唆された.さらに,IL-1α誘導性のTLR2発現は,抗炎症性サイトカインである形質転換増殖因子β(TGFβ)により抑制されることも明らかとなった. 本研究では,今まで免疫担当細胞について数多く報告されてきたTLRが,免疫担当細胞ではない肝実質細胞においても発現誘導され,それにより急性期タンパク質の産生が増強されることを明らかにした.
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[Publications] Takayuki Matsumura: "TRAF6-NF-κB pathway is essential for interleukin-1-induced TLR2 expression and its functional response to TLR2 ligand in murine hepatocytes"Immunology. 109(1). 127-136 (2003)
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[Publications] 松村 隆之: "肝細胞におけるTLRの発現とその意義"臨床免疫 Clinical Immunology. 40(3). 254-258 (2003)
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[Publications] Takayuki Matsumura: "TGFβ down-regulates IL-1α-induced TLR2 expression in murine hepatocytes"Journal of Leukocyte Biology. (in press). (2004)
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[Publications] Takayuki Matsumura: "TIFAB inhibits TIFA, TRAF-interacting protein with a forkhead-associated domain"Biochemical and Biophysical Research Communications. (in press). (2004)