2004 Fiscal Year Annual Research Report
B-catenin結合因子B9L及びBcl9の機能解析
Project/Area Number |
03J61538
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
足達 俊吾 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | β-catenin / Bcl9 / B9L / Wnt / 大腸癌 |
Research Abstract |
Wntシグナル伝達経路は、線虫からヒトにいたるまで広く保存されており、発生、形態形成に重要な役割を果たしている。さらに、種々のヒト腫瘍でWntシグナル伝達経路構成因子であるβ-cateninや負の制御因子APCの変異が見出され、Wntシグナル伝達経路の異常が細胞癌化に関与していることが明らかになっている。変異のおきたβ-cateninは安定化して細胞内に蓄積し、核内に移行してTCFと複合体を形成し転写を活性化する。このようなβ-catenin/TCFを介した転写の異常な活性化が癌化の一因となると考えられている。私は去年までに、β-catenin結合因子として、B細胞リンパ腫で活性化している癌遺伝子Bcl9と相同性のある新規遺伝子B9L (Bcl9 like protein)を同定し、さらに、B9Lがβ-cateninを介した転写活性を亢進する働きを持つ事、in vitroにおいてB9Lがβ-cateninの介した細胞癌化に深く関与している事、さらにヒト大腸癌患者の癌組織においてB9Lの過剰発現が見られる事を明らかにした。 今年度私は、多くのヒト大腸癌患者においてB9Lの過剰発現が起きているかどうかを調べ、その結果、14症例中6症例(43%)の大腸がん組織において周辺の正常組織よりもB9Lの顕著な発現上昇が認められた。また、これまでのB9Lに関する実験結果からB9Lの関与する細胞の癌化にはB9Lのカルボキ末端が重要であると言う結果を得ており、現在、B9LのC末端領域に結合する候補因子を探索し、その候補因子を得ている。さらに、今年度はこれまでの結果を論文としてまとめ、公表した。
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Research Products
(1 results)