2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61540
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大河原 美静 (仲野 美静) 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | TGF_βシグナル / Wntシグナル / 中胚葉誘導 / NLK / STAT3 / TAK1 |
Research Abstract |
MAPキチーゼ様のセリン/スレオニンキナーゼであるNLKは、MAPKKKであるTAK1の下流でWntシグナル伝達経路の転写因子であるTCF/LEFをリン酸化する事により、β-catenin/TCF複合体のDNA結合能を抑え、Wntシグナル伝達経路を負に制御する事が知られている。しかし、ツメガエル胚における解析からNLKが初期発生においてWntシグナル伝達経路にも関与する事が示唆されており、生体内におけるNLKの機能には依然不明な点が多い。本研究では酵母Two-hybrid法を用いて単離されたNLK結合因子であるSTAT3の機能解析を行い、NLKとSTAT3の新たな機能を解明した。 STAT3はJAK/STAT3シグナル伝達経路を構成する転写因子であり、JAKキナーゼによってチロシン残基がリン酸化されると核へ移行して標的遺伝子の発現を誘導する。一方、STAT3のC末端側領域に存在するセリン残基の生理的な意義は不明であった。今年度我々は以下の事を明らかにした。NLKが培養細胞またはXenopus胚においてSTAT3と結合し、このセリン残基をリン酸化する事を示した。培養細胞においてTGF-βファミリーリガンドによってNLKが活性化する事、STAT3、NLKに加え、NLKの上流のキナーゼであるTAK1もXenopus胚においてTGF-βファミリーリガンドが制御する中胚葉誘導に関与する事、この中胚葉誘導にはNLKによるSTAT3のセリン残基のリン酸化が重要な役割を担っている事も証明した。これらの結果は生体内においてTGF-βファミリーリガンドの下流でTAK1-NLK-STAT3というシグナル伝達経路が機能して中胚葉誘導を担っている事を示唆している。
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Research Products
(2 results)