2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61542
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻 敏之 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 膜タンパク質 / バイオインフォマティクス / 膜タンパク質判別 / ターゲッティング |
Research Abstract |
研究計画書にも書いたように,ミトコンドリアに局在する膜タンパク質は生体膜内という疎水的な環境に存在するにもかかわらず比較的親水的な性質を持っており,SOSUIによるこれまでの判別アルゴリズムでは膜タンパク質であると判別することが困難であった.そこで,本年度はこのミトコンドリア膜タンパク質の性質を念頭に置き,新たに膜タンパク質と水溶性タンパク質の判別に関して重点的に研究を行った. 判別では,タンパク質中で最も疎水的な領域(最大疎水性領域)に着目し,この領域の疎水性・両親媒性の大きさと,その性質が領域内でどのように分布しているかという点を評価することで膜タンパク質であるか否かを判別した.判別精度は非常に高く,膜タンパク質,水溶性タンパク質ともに95%以上正しく判別できた.しかし,この判別アルゴリズムをミトコンドリアに局在する膜タンパク質に適用すると,判別精度が約50%に著しく低下してしまうことが解った. この原因を知るために,膜タンパク質の最大疎水性領域の疎水性に関して解析した.小胞体経由で細胞膜などに移行するもの,核・葉緑体に移行するもの(小胞体経由膜タンパク質グループ)では疎水性が強く,ミトコンドリア・ペルオキシソームに移行するもの(ミトコンドリア膜タンパク質グループ)では疎水性が弱いことがわかった.ここに水溶性タンパク質を加えると,最大疎水性領域の疎水性は,「小胞体経由膜タンパク質グループ>ミトコンドリア膜タンパク質グループ>水溶性タンパク質」となっていることが明らかになった. 本年度の研究については,日本生物物理学会第41回年会,CBI学会で発表した. 現在,以上の成果をまとめた論文を執筆中である.
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